最近、AIベースのサービスが急速に発展しています。テキスト生成ではChatGPTやGitHub Copilot、画像生成ではStable Diffusionといったサービスが注目されています。

しかし、AIサービスの利用にあたっては、著作権や肖像権の問題が常に懸念されます。無闇に使ってしまうと著作権侵害のリスクがあるため、慎重に利用しなければなりません。

今回は、著作権問題を回避できるAIサービスをいくつか紹介します。

画像系

Adobe Firefly

Adobe Fireflyは、Adobeが提供する画像生成サービスです。学習元となるデータは、Adobe Stockの素材やパブリックドメインの作品、著作権が切れた作品などを用いています。言葉やスケッチを基に素材を生成したり、さまざまな素材を比較することが可能です。他のAdobe製品と連携することで、より創造的な作品が作り出せます。

AI Art Generator – Adobe Firefly

PantheonLab

PantheonLabではデジタルヒューマンを生成し、カスタマーサポートやサービス紹介の動画などを生成します。

バーチャルタレント(VTuber)も作成可能で、生み出されたデジタルヒューマンは実在しないため、問題を起こすことはありません。

PantheonLab | Change Imagination to Reality with Digital Human, AIDOL and Metaverse

Generated Photos

Generated Photosではパラメータを指定して存在しない人の顔を生成します。

また、匿名性を維持しつつ、自分に似た写真を生成する機能もあります。

Generated Photos | Unique, worry-free model photos

AI人物素材(ベータ版) - 写真AC

写真ACでは、ライセンスフリーの写真素材を提供するサービスとしてAI人物素材をベータ版で提供しています。生成されるのは肩より上のプロフィール画像のみになります。

特にパラメーターはなく、ボタンを押すと新しい顔写真が生成されます。実行回数に制限があるので注意してください。

AI人物素材(ベータ版)|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK

INAI MODEL

INAI MODELは存在しないモデルを生成するサービスです。全身生成可能で、アパレルのモデルに使ったり、チャットボットなどでも利用できます。

人種、性別、年齢など幅広いパラメーターでモデルを生成するので、自社にマッチしたバーチャルモデルが生成できるでしょう。

INAI MODEL | 「わたしたち、実はいないんです。」

mimic(ミミック)

mimicはイラストレーターが自分の作品(30作品以上)をアップロードし、それを学習データとしてオリジナルのイラストを生成するサービスです。生成されたイラストの著作権はイラストレーターに属します。

生成できるのは顔部分のみのようです。生成されたイラストをたたき台としてリメイクしたりする使い方が提案されています。

mimic(ミミック)

音声系

VOICEVOX

テキストの読み上げサービスです。商用利用可能となっています。様々なキャラクターボイスが登録されており、バラエティ豊かです。

仕組みとしてはオープンソース版のVOICEVOXを用いています。細かなイントネーション調整ができますが、品質は中程度とのことです。

VOICEVOX | 無料のテキスト読み上げソフトウェア

音読さん

音読さんはテキストを様々な音声で読み上げてくれるサービスです。無料の場合はクレジット表記が必須で、有料の場合は不要です。商用利用も可能です。

音声は速度や高低を調整できます。ただし細かなイントネーション調整はなく、ひらがなやカタカナを組み合わせることでちょっとだけ調整できます。

日本語 音声読み上げソフト|音読さん

注意点

米国ではAIによって生成された作品は著作権がないとされていますが、その学習元データが他社の著作権を侵害している場合には別の問題が生じます。

また、日本では他人の著作物を学習元データとして使用することに対する批判も多いため、サービスの利用には十分な注意が必要です。

安全に利用できるAIを選ぶ方法

以上のサービスから、企業として安全に利用できるAIを選ぶためのポイントをいくつか挙げることができます。

学習元データの著作権

AIの生成能力は学習元データに強く依存します。そのため、学習元データが著作権侵害をしていないか、またはパブリックドメインであるかを確認することが重要です。

AIの出力に対する著作権

AIが生成した作品に対する著作権の扱いも重要です。たとえば、mimicはイラストレーターがアップロードした作品を学習データとして使用し、生成されたイラストの著作権はイラストレーターに属します。

商用利用の可否

企業としてAIを使用する場合、商用利用が許可されているかどうかは大きな問題です。たとえば、VOICEVOXや音読さんのようなサービスは商用利用が可能です。

AIの品質

AIの品質やその生成物の適用可能性は企業として重要な判断基準です。たとえば、Adobe Fireflyは様々な素材を生成し、PhotoshopやIllustratorなど他のAdobe製品と結びつくことで、よりクリエイティブな作品が生み出せます。

AIの公開性と透明性

AIサービスがどのように機能するか、どのようなデータを使用して学習したかなどの情報は、企業が安全にAIを利用するために重要です。また、サービス提供者が「問題ない」と公言しているかも重要な判断基準となります。

これらのポイントを考慮に入れつつ、自社のビジネスニーズや法的なリスクを評価することで、企業は適切なAIサービスを選択することができます。

まとめ

AIを手軽に扱えるサービスは増えていますが、それをビジネスで活用するとなると他者の著作権、肖像権に配慮が必要です。

そうした中で、サービスが「問題ないです」と公言してくれるのはメリットになります。ぜひ利用する際には、そうした問題につながらないか事前にチェックしましょう。