最近、「デジタルツイン」という言葉をよく耳にするようになりました。でも、これって一体何なのでしょうか?
デジタルツインとは、現実世界の物や場所をコンピューター上で再現する技術のことです。例えば:
- 建物や街全体の3Dモデルを作成
- センサーを使って実際の温度や人の動きなどのデータを集める
- そのデータをコンピューター上の3Dモデルに反映させる
これにより、現実世界の状況をデジタル空間上で表現することができます。
この技術は様々な分野で活用されています:
- 都市計画:新しい建物が建つとどう景観が変わるか事前に確認
- 交通管理:渋滞の予測や効率的な道路計画
- 災害対策:洪水や地震のシミュレーション
- 環境保護:大気汚染の広がりを予測
Cesiumとは?3D世界を簡単に作れるツール
さて、このようなデジタルツインを作るのは難しそうに思えますが、実は「Cesium」というツールを使えば、誰でも簡単に3D世界を作れるんです。
Cesiumは、以下のような特徴を持つJavaScriptライブラリです:
- オープンソース:無料で使える
- 3D地球や地図を簡単に表示できる
- WebGL技術を使用:スムーズな3D描画が可能
- 東京都のデジタルツイン3Dビューアでも使用されている実績あり
Cesiumを使ってみよう!
準備:Cesiumを導入する
Cesiumを使うには2つの方法があります:
- npmを使う方法(開発者向け):
npm install cesium
- CDNを使う方法(初心者にお勧め):
HTMLファイルに以下のコードを追加します。<script src="https://cesium.com/downloads/cesiumjs/releases/1.118/Build/Cesium/Cesium.js"></script> <link href="https://cesium.com/downloads/cesiumjs/releases/1.118/Build/Cesium/Widgets/widgets.css" rel="stylesheet">
基本的な使い方
- HTMLファイルに3D表示用の場所を作ります:
<div id="cesiumContainer"></div>
- CSSで表示サイズを設定します:
<style> html, body, #cesiumContainer { width: 100%; height: 100%; margin: 0; padding: 0; overflow: hidden; } </style>
- JavaScriptで3D地球を表示します:
const viewer = new Cesium.Viewer("cesiumContainer");
これだけで、地球が表示されます。
実際の活用例:東京都デジタルツイン3Dビューア
東京都が公開しているデジタルツイン3Dビューアは、Cesiumを使って作られています。このビューアでは、東京の街並みを3Dで見ることができます。
注意点:
- PCでの利用がお勧めです(スマートフォンだと動作が重くなる場合があります)
- テクスチャ(建物の外観など)を表示すると、よりリアルになりますが、処理が重くなります
もっと詳しく知りたい人へ
Cesiumには、さまざまなデモが用意されています。3Dモデルの表示や、地形データの利用など、多くの機能を試すことができます。
Cesium Sandcastleというサイトでは、実際にコードを書きながらCesiumの機能を学べます。
Monacaで作るデジタルツイン活用モバイルアプリ
ここまでデスクトップでのCesiumの使用方法を見てきましたが、実はMonacaを使えば、デジタルツインを活用したモバイルアプリも作ることができます。
Monacaとは?
Monacaは、HTML、CSS、JavaScriptを使ってクロスプラットフォームのモバイルアプリを開発できるツールです。
Monaca + Cesium でモバイルアプリを作ろう
それでは、先ほどの地球を表示する例をMonacaで実装してみましょう。以下のコードを使用します:
<html>
<head>
<meta charset="utf-8">
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1, maximum-scale=1, user-scalable=no">
<meta http-equiv="Content-Security-Policy" content="default-src * data: gap: content: https://ssl.gstatic.com file: blob:; style-src * 'unsafe-inline'; script-src * 'unsafe-inline' 'unsafe-eval'; worker-src * blob: file:;">
<script src="https://cesium.com/downloads/cesiumjs/releases/1.118/Build/Cesium/Cesium.js"></script>
<link href="https://cesium.com/downloads/cesiumjs/releases/1.118/Build/Cesium/Widgets/widgets.css" rel="stylesheet">
<style>
html,
body,
#cesiumContainer {
width: 100%;
height: 100%;
margin: 0;
padding: 0;
overflow: hidden;
}
</style>
</head>
<body>
<div id="cesiumContainer"></div>
This is a template for Monaca app.
<script>
const viewer = new Cesium.Viewer("cesiumContainer");
</script>
</body>
</html>
このコードの各部分を詳しく見ていきましょう:
- Cesiumの読み込み:
<script src="https://cesium.com/downloads/cesiumjs/releases/1.118/Build/Cesium/Cesium.js"></script> <link href="https://cesium.com/downloads/cesiumjs/releases/1.118/Build/Cesium/Widgets/widgets.css" rel="stylesheet">
CesiumのJavaScriptファイルとCSSファイルを読み込んでいます。
- スタイル設定:
<style> html, body, #cesiumContainer { width: 100%; height: 100%; margin: 0; padding: 0; overflow: hidden; } </style>
3D表示が画面全体を占めるようにスタイルを設定しています。
- 3D表示用のコンテナ:
<div id="cesiumContainer"></div>
Cesiumが3D地球を描画する場所を指定しています。
- Cesiumの初期化:
<script> const viewer = new Cesium.Viewer("cesiumContainer"); </script>
Cesiumの3Dビューアを作成し、先ほど指定したコンテナに関連付けています。
アプリのカスタマイズ例
このベースのコードから、様々な方向にアプリを発展させることができます:
- 特定の地域の3Dモデルを表示する
- ユーザーの現在位置を3D地球上に表示する
- センサーデータをリアルタイムで3Dモデルに反映させる
これらの機能を追加することで、よりインタラクティブで実用的なデジタルツインアプリケーションを作ることができます。
まとめ
Cesiumは強力な3D表現ツールであり、Monacaと組み合わせることで、デスクトップだけでなくモバイルデバイスでもデジタルツイン技術を活用したアプリケーションを作ることができます。
Cesiumは、現実世界の3Dデータを簡単に表示できる強力なツールです。ビジネスでの活用はもちろん、教育用や個人的な趣味プロジェクトにも使えます。
始めるのは簡単ですが、本格的に使いこなすにはある程度の学習が必要です。興味を持った方は、ぜひCesiumの公式ドキュメントやGitHubをチェックしてみてください。