2025年半ばにリリースを予定しているAndroid 16。OSのバージョンアップとともに新しいAPIが追加されたり、ユーザー保護機能が追加されるなど、アプリ開発者にとっては見逃せないリリースです。
この記事では、そんなAndroid 16の新機能や変更点についてまとめて紹介します。
新しいAPIについて
新しいフォトピッカーAPI
アプリの中で写真を選択するAPIが新しくなります。
新しい機能として、アプリで作成されたアルバムとメディア アイテムのみを一覧表示、検索、取得できるようになります。
一方、共有アルバムに関連するAPI は非対応になります。2025年3月31日以降は自分のアプリでアップロードしていないアルバムやメディアへのアクセスはできなくなるので、写真選択ツール APIへの変更が必要です。
Google Photos API の更新 | Google Photos APIs | Google for Developers
Health Connectの強化
Health Connectは、様々な健康アプリのデータを一元管理できるプラットフォームです。
- ランニングアプリの距離データ
- 睡眠管理アプリの睡眠記録
- 食事管理アプリのカロリーデータ
これらのデータを、アプリ間で安全に共有できます。
Android 16では、さらに医療データの管理機能が追加されます。新しいAPIにより
- 医療記録の読み書きが可能に
- FHIR形式(医療標準フォーマット)でのデータ管理
重要なのは、すべてのデータアクセスにユーザーの許可が必要な点です。
- アプリは勝手にデータを読み取れない
- 共有するデータの種類を選択可能
ヘルスコネクトの実際の利用例としては、health-samples/health-connect/HealthConnectSampleが参考になるようです。
プライバシーサンドボックスのアップデート
プライバシーサンドボックスは、ユーザーのプライバシーを守りながらアプリやサービスを安全に提供するためのGoogleの新しい取り組みです。主な特徴は次のとおりです。
- 専用の実行環境(SDKランタイム)でアプリを動作
- アプリのメイン処理から分離された安全な空間でデータを扱う
- ユーザーデータの収集・共有をより安全に実施
例えば、広告IDの収集や分析などのプライバシーに関わる処理を、メインアプリとは別の保護された環境で実行できます。これにより、ユーザーの個人情報を守りながら、必要なサービスを提供できるようになります。
Advanced Protection Modeの新API
Advanced Protection Modeは、端末のセキュリティを最大限高めるための機能です。
有効にすると次のことができるようになります。
- アプリはGoogle Playからのみインストール可能
- Chromeでのファイルダウンロードが制限
- 不正なアプリやマルウェアからデバイスを保護
Android 16では、アプリがこのモードの状態を確認できるAPIが追加されました。
App Functions API
Android 16で導入される「App Functions API」は、GoogleのAIアシスタント「Gemini」とアプリをより深く連携させる新機能です。ユーザーが許可したアプリ内のデータにGeminiがアクセスできるようになり、より個人に合わせたサポートが可能になります。
具体的な活用例
- レストラン予約をGeminiに依頼
- チャット履歴の要約を作成
- カレンダーの予定整理
iOSの「App Intents」に似た機能ですが、Googleの強みであるAI技術(Gemini)との統合で、より高度な支援が期待できます。もちろん、プライバシーは確実に保護され、ユーザーが許可したデータのみにアクセス可能です。
この機能により、スマートフォンをより自然な対話で操作できるようになります。
Google is prepping Gemini to take action inside of apps - The Verge
機能強化
マルチタスク機能の強化
Android 16では、マルチタスク機能が強化されます。バブル化と呼ばれており、任意のアプリをフローティングバブルとして画面上に配置できる機能です。これにより、アプリのスイッチング・マルチタスクが実現します。
Android 11ではメッセージングアプリ用のバブルAPIが導入されましたが、Android 16では全てのアプリがバブル化できるようになります。
デスクトップモードの強化
デスクトップモードはAndroid 15のベータ版で試験的に導入されていますが、16になって正式な機能になると予想されています。
通知関連
機密通知のロック画面非表示機能
ワンタイムパスワードなどの機密に関する通知を自動的に非表示にする機能です。通知リスナーによる不正な情報閲覧も防止します。
Android 16がセキュリティを強化 機密通知のロック画面非表示機能を導入 | Androider
リッチ継続通知
リッチ継続通知は、iPhoneのDynamic Islandに似た通知機能と言われています。ステータスバーにて音楽の再生状況やスポーツのスコア、宅配のステータスなどを表示できる機能です。背景やテキストのカスタマイズが可能で、リアルタイムに情報を更新できるのが特徴です。
Android 16 could get iPhone-like 'ongoing' notifications | The Verge
通知クールダウン
Android 15の開発版にあったものの、正式採用されなかった通知クールダウンですが、Android 16のDeveloper Preview 1で再度導入されています。これは、通知を開かなければ、徐々に通知が減少する機能です。バズった時などに、通知が爆発的に増えるのを防ぐための機能です。
Android 16 DP1 で「通知クールダウン」が再び登場。同じアプリからの連続通知を抑える機能 | HelenTech
まとめ
今回はAndroid 16 Developer Preview 1をベースに、新しく追加された機能やAPIについて紹介しました。新しいAPIが追加されると、それを使ってどんなことができそうか、インスピレーションが刺激されますね。
とはいえ、Developer Preview 1の段階では、まだまだ変更があるかもしれません。最新情報は公式のAndroid Developersをチェックしてください。