モバイルアプリの開発は、リリースがゴールではありません。継続的な品質向上とユーザー体験の最適化が求められる長期的なプロセスです。

今回はモバイルアプリを開発、保守する上でウォッチしておきたい情報ソースをまとめて紹介します。

iOS

AppleのiOSエコシステムでは、開発者が常に最新の変更や要件を把握することが不可欠です。主要な情報源は次の通りです。

Apple Developer Documentation

こちらは英語のドキュメントになります。日本語版もありますが、より正確に早く情報をキャッチアップする際には英語版をオススメします。

Appleの発表では日本市場に限らず、世界中の市場に対する変化が発表されます。EUでは独自のアプリマーケットが利用できるようになったり、韓国ではアプリ内課金の仕組みに変更があるなど、グローバルにアプリを配布している際にはチェックしたい情報源になります。

最新ニュース - Apple Developer

アプリのレビューガイドラインの更新や審査状況の変更など、運用面での重要な情報が公開されます。特に収益化を行っているアプリの開発者にとっては、課金システムの変更や税制の更新など、ビジネスに直接影響する情報を得られる重要なリソースとなっています。

WWDC24 - ビデオ - Apple Developer

WWDCはAppleが行っている年次の開発者向けカンファレンスになります。このイベントでは、次期OSに関する情報が発表され、それに伴って追加される機能の開発者キットなども合わせて発表されます。

WWDCは通常6月に行われて、実際にOSがリリースされるのは9月末になります。約4ヶ月の間に機能を実装したり、利用できなくなった機能を変更してリリースに間に合わせる必要があります。

WWDCで発表される機能は、即座に使えるものではありません。しかし、新機能の使い方や新しいプライバシーへの取り組みなどを学ぶ際にはチェックした方が良いでしょう。

Android

Androidプラットフォームは、その開放性から多様な情報源が存在します。以下に主要なものを紹介します。

Android リリース | Platform | Android Developers

Androidの最も基本的な情報源になります。各OSのバージョンや、その機能について網羅的に紹介されています。Android OSのバージョンアップ情報についてウォッチする際には、ここをチェックするのが良いでしょう。

Android Developers Japan Blog

より細かな機能や新しい取り組みについて知りたい場合には、ブログをチェックしましょう。こちらは日本語版のブログになります。日本市場独自の機能についても、このブログの中で取り上げられます。

Google I/O 2024

Google I/OはGoogleの主催する開発者向け年次カンファレンスです。Googleのテクノロジーは幅広いため、Android以外の話題も数多いです。セッションも数多いので、その中からAndroidや自分の必要な情報を探す必要があります。

ここでAndroid向けに発表される内容は、約半年くらい後でリリースされるものになります。そのため、すぐに使えるものではないでしょう。また、OSのリリースタイミングと実機に反映されるタイミングは異なるので注意が必要です。

Google Play ポリシー | Android Developers

コードだけに限らず、Androidアプリを配布する際のアップデート情報が発信されます。最近では、アプリ内課金を行うアプリは住所などを登録すると言ったアップデートがありました。これは対応していないとアプリが公開停止になってしまうものです。

こうしたポリシーの変更は一定の猶予が設けられますが、対応必須なものが多いので注意してください。

ブラウザ/Monacaアプリ

Monacaアプリを開発しているならば見逃せないのがブラウザに関する情報です。OSがアップデートされるタイミングでブラウザもバージョンアップし、利用できる機能が追加されます。

Blog - Apache Cordova

MonacaアプリのベースになるCordovaのブログです。iOSやAndroid向けのバージョンアップ情報や、セキュリティに関する情報が発信されています。

新OSに対する開発状況もチェックできるので、Monacaアプリを開発しているならばぜひウォッチしておきたい情報です。

WebKit

WebKitはApple製品で使われているブラウザエンジンになります。この変更が即座にApple製品に反映される訳ではありませんが、HTML APIの進化に合わせて随時機能が追加されています。

なお、WebKitはオープンソースのブラウザであり、それをラップする形でSafariがあります。さらに、そのSafariのレンダリングエンジン/JavaScriptエンジンなどをwkWebViewとしてMonacaアプリでは利用しています。それぞれの形において、利用できる機能が異なるので注意してください。Safariでは利用できても、wkWebViewでは利用できない機能があります。

Chrome Releases

Androidで利用されるブラウザはChromeになります(iOS向けのChromeはレンダリングエンジンがwkWebViewです)。Chromeにどういった機能が追加されるか確認する際には、こちらのリリース情報ブログをチェックするのが良いでしょう。

Can I use... Support tables for HTML5, CSS3, etc

各ブラウザで、HTML APIが使えるかどうかを確認する際に便利なサービスです。ブラウザエンジンは随時アップデートされており、Can I useの情報も日々更新されています。

モバイルとデスクトップブラウザで利用できるAPIが異なる場合もありますし、APIの細かな機能レベルで実装状況が異なるケースもあります。Can I useであらかじめチェックしておくことで、安心して機能を使えたり、ポリフィルの組み合わせを検討するといった判断ができます。

まとめ

スマートフォンやタブレットでできることが増えるのに合わせて、開発者が必要とする情報も多様になっています。そのため、一つの情報ソースだけですべて確認するのは難しいでしょう。自分の必要に応じて情報ソースを選定する必要があります。

プライバシーやAIなど、スマホアプリが注意すべき技術も増えており、各プラットフォームも対応が求められています。アプリの更新、または追加情報の提出が求められるので、情報のウォッチが求められます。