OpenStreetMap(OSM)は、誰でも自由に利用・編集できる地図データベースです。自分が知っている場所を追加・編集すれば、地図がどんどん便利になっていきます。公開されている地図データは自由に利用できますが、アプリの中で利用する場合は、タイル配信方法や利用規約に注意が必要です。

そんなOSMの地図データを編集するためのエディタとして、Metaが主導して開発しているのがRapidです。本記事ではRapidの特徴や利用方法について解説します。

Rapidとは

Rapidは、各種地理空間データベースを統合し、OpenStreetMap(OSM)の編集を支援するためのオープンソースエディタです。Metaが主導して開発しており、GitHubでソースコードが公開されています。

Rapidの特徴

高速、かつ大量のデータを扱える

Rapidでとある場所を表示した場合は、以下のようになります。

同じ場所をOpenStreetMapの標準エディタ「iD Editor」で表示した場合は、以下のようになります。同じズームレベル(ズーム17)ですが、RapidではOSMの既存データに加え、AIによる検出結果なども重ねて表示されるため、より多くの情報が表示されていることが分かります。

AIによる解析

Rapidでは、衛星画像などをAIで解析し、建物や道路の「編集候補」を自動的に検出してくれます。これにより、地図データの編集作業を効率化できます。以下はRapidで表示している例です。ピンク色の部分が、Rapidによって建物として検出された候補です。

なお、これらの検出結果はそのままOSMに反映されるわけではなく、ユーザーが内容を確認した上で追加・編集を行います。

OpenStreetMapの標準エディタ「iD Editor」では、同じ場所を表示すると以下のようになります。AIによる建物検出のような機能は特にありません。

直感的なUI/UX

Rapidは地図編集が行いやすいよう、直感的なUI/UXが提供されているとしています。ただ、この点については既存のiD Editorもかなり洗練されているため、操作感に大きな差は感じられませんでした。

OpenStreetMapとの連携

RapidはOSMとシームレスに連携しています。Rapidで行った編集内容は、OSMのデータベースにアップロードできます。Rapidでは大量の情報を高速に表示・操作できるため、OSMの編集作業をより効率的に行えるでしょう。

まとめ

RapidはOSMを頻繁に更新するユーザーにとって、非常に便利なエディタです。AIによる建物検出など、最新技術を活用して地図編集を効率化できます。また、これまでOSMにコントリビュートしてこなかった方も、これを機に参加してみてはいかがでしょうか。

Rapid Editor