ここ数年、フロントエンド界隈では仮想DOMと呼ばれる技術が人気です。フロントエンドでUIを構築する際に、その状態(表示可否、いくつ表示しているかなど)をJavaScript側で管理するのは大変です。そこで仮想DOMを用いることで、表示ロジック側に判定を任せられます。開発者はJavaScript側で変数を更新すれば、後の表示はライブラリにお任せできるのです。

そんな仮想DOMですが、慣れるまで使いづらいと感じる人は多いでしょう。また、ReactやVueなど仮想DOMを使ったフレームワークでもお作法が異なって混乱してしまう問題もあります。

そうした状況下で作られた新しいJavaScriptフロントエンドフレームワークがSvelteになります。Svelteの特徴として次の3つが挙げられます。

  1. HTML/JavaScript/CSSといった既存の技術だけを利用する
  2. 仮想DOMは使わない
  3. 簡単な状態管理

この記事ではSvelteをMonacaアプリに導入するまでのステップを簡単に紹介します。

Svelte • Cybernetically enhanced web apps

ベストな方法はVue × Onsen UIプロジェクトテンプレートをベースにする

Svelteでは Webpackなどの導入が必要で、多少なりとも複雑なステップを踏む必要があります。しかし、Vue × Onsen UIプロジェクトのテンプレートをベースにすれば、とても簡単に導入できます(ReactやAngularのテンプレートでもそれほど変わらないはずです)。

ライブラリの追加、削除

Vueのテンプレートを導入した状態だとして進めます。Monaca CLIであれば Onsen UI and Vue.js > Onsen UI V2 Vue Minimum を選択してプロジェクトを作成してください。

不要なライブラリを消して、逆にSvelteを追加します。package.json でいえば、次のような差分になります。

  • 削除するライブラリ
    • onsenui
    • vue-onsenui
  • 追加するライブラリ
    • svelte
    • svelte-loader

svelte-loaderはSvelteのWebpack用ライブラリです。

webpack.config.jsを修正する

次に webpack.config.js を修正します。修正箇所は次の通りです。

以下を削除

以下のように変更

以下のキーを追加

以下のように変更

上記テストに追加

以下を削除

念のためできあがったwebpack.config.jsを貼り付けます。

src/public/index.html.ejsの修正

Svelteでは特にあらかじめDOMを用意しておく必要はありませんので、 src/public/index.html.ejs を開いて修正します。

src/main.jsの修正

最初のエントリポイントになる src/main.js を修正します。ちょっとVueに似ていますが、よりシンプルです。propsは次の画面(ここではApp)に引き渡す引数です。targetでdocument.bodyとしていますので、画面全体を書き換えられます。

src/App.svelteの作成

ではmain.jsから呼ばれているApp.svelteを作成します。まずはただのHTMLを表示します。

これでHTMLに反映されていれば、Svelteが無事に動いているというになります。

Svelteの使い方

これで終わってしまったらSvelteの良さが伝わらないので、幾つかサンプルを実行してみましょう。

文字を出力する

文字を出力する場合、次のように書きます。VueやReactのような専用記法ではなく、よく見知ったHTMLとJavaScriptの書き方が使えているのが分かります。

同様にHTMLの要素を書き換えることもできます。以下の例では1秒ごとにh1タグの文字色を変更しています。

ここもVueのようにテキストの場合と要素の場合で書き方を変えたりしないので分かりやすいです。

処理分岐

if文を使った処理分岐の方法は次のようになります。 {#if}{/if} を使って分岐を書きます。分岐処理の際にはJavaScriptが使えるので分かりやすいです。イベントの取得は on:イベント名 で、関数などを指定します。

入力値の取得

入力された値を取得する場合のサンプルです。 bind:value を定義することで、入力された値をJavaScript側の変数に入れられます。

外部ファイルの利用

別なSvelteファイルを定義して、呼び出すこともできます。HTMLやJavaScriptが複雑化しないためにも必要でしょう。元のファイルでは次のように定義します。 Nested.svelte が外部ファイルです。

Nested.svelteの内容は次のようになります。

なお、表示を見て分かる通り、呼び出し元のスタイル設定は、別なコンポーネントには影響されません。

外部ファイルへの変数の受け渡し

いわゆるpropsの使い方です。これもシンプルです。まず親ファイルで次のように要素を使って変数を指定します。

受け取る側では変数をexportで受け取れます。

外部ファイルを使った変数の書き換え

外部ファイルが増えていくと、その中で変数をどう管理するかが問題になります。いわゆるステート管理ですが、多くのフレームワークの悩みです。Svelteでは、専用の仕組みを用意しています。

まず変数(読み込みのみ、書き込み可の二つが定義ができます)のファイルを用意します。この writable という関数で変数を定義するのがコツです。

各コンポーネントでは、このファイルを読み込んで、updateを使って変数を更新します。

setメソッドでリセットもできます。

また、各コンポーネントで起こっている変数の書き換えを検知するためにサブスクライブ(購読)メソッドが用意されています。これはcountが書き換わったタイミングを受け取りたい場合に用いるもので、今回の場合であればcountをそのまま出力する形でも問題ありません。

このようなしくみで簡単なカウンタ機能を、部品ごとに分解して開発できます。Vueで同じようなことをしようと実現するためにはステート管理が必須ですが、Svelteならとてもシンプルです。

UIライブラリについて

Svelteはフレームワークですので、見た目のよいUIを実現するためには別途UIフレームワークを利用するとよいでしょう。現状、Onsen UIは対応していませんが、次のようなUIフレームワークが存在します。独自ではなく、何らかの別なUIフレームワークをSvelte向けにラッピングしているようです。

まとめ

Svelteはほかのフレームワークと比べると、学習コストは低そうです。すでにHTML/JavaScript/CSSを分かっていれば、その知識のまま移行できます。VueやAngular、Reactなどに取っつきづらさを感じていた方は試してみてはいかがでしょうか。

Svelte • Cybernetically enhanced web apps