前回は、MonacaクラウドIDEのプレビュー機能について紹介しました。MonacaクラウドIDEのプレビュー機能は、主に画面レイアウトを確認するための機能になり、AndroidやiOSが提供しているネイティブ機能を実行する事ができません。Monacaで利用しているCordovaでは、ネイティブ機能を利用するための仕組みとして、Cordovaプラグインを導入しています。
アプリ開発者は、アプリが実行したいネイティブ機能を実装したCordovaプラグインを開発することで、アプリから対象のネイティブ機能を実行させる事ができます。このCordovaプラグインは、ビルドの際にアプリに組み込まれるため、Cordovaプラグインを利用するには、アプリのビルドが必要になります。
Monacaでは、Cordovaプラグインを利用できるMonacaデバッガーを提供しています。現在、Android版Monacaデバッガーについては、以下のGoogle Playで公開されています。
iOS版Monacaデバッガーは、現在、App Storeには公開されていないため、カスタムビルド版デバッガーをビルドして作成することで、対象Monacaプロジェクト専用のMonacaデバッガーを使用する事ができます。カスタムビルド版デバッガーについては、以下を参照していください。
Android版Monacaデバッガーには、Cordovaコミュニティーが開発、運用しているCordovaプラグインの一部が含まれているため、カメラやGPSのようなネイティブ機能を実行する事ができます。
Android版Monacaデバッガーに含まれていないCordovaプラグインの機能を利用したい場合は、iOSと同様にカスタムビルド版デバッガーをビルドして作成することで、対象Monacaプロジェクト専用のMonacaデバッガーを使用する事ができます。
今回は、Monacaデバッガーを使用する上での基礎知識をAndroid版Monacaデバッガーを使用して説明していきたいと思います。
Monacaデバッガーにログインする
モバイル端末にインストールされたMonacaデバッガーを起動すると、ログイン画面が表示されます。
Monacaデバッガーを利用する場合は、ログイン画面に表示されている
- メールアドレス
- パスワード
に、Monacaアカウントで使用しているメールアドレスとパスワードを入力して、ログインする必要があります。
このログインに関して、企業等でMonacaを利用している場合、セキュリティー対策として、パスワードには、文字数や大文字、小文字、記号を含めたパスワードを使用する必要があります。このような場合、手動でパスワードを入力する事が困難になるケースがあります。
MonacaクラウドIDEでは、このようなケースに対応するために、Android版Monacaデバッガー用のワンタイム パスワードを提供しています。ワンタイム パスワードで表示されるQRコードを対象のモバイル端末から読み込むことで、Monacaデバッガーに自動ログインする事ができます。ワンタイム パスワードは、MonacaクラウドIDEのメニュー、
- 実行 - ワンタイム パスワード
から、アクセスできます。
この機能は、カスタムビルド版デバッガーでは、利用できません。
プロジェクト一覧
Monacaデバッガーにログインすると、プロジェクト一覧画面が表示されます。
Monaca.io プロジェクトに表示されているプロジェクト名をタップすることで、対象プロジェクトを起動する事ができます。プロジェクトの実行は、MonacaクラウドIDEのメニュー、
- 実行 - 実機で実行
からも実行させる事ができます。プロジェクト数が多い場合、プロジェクト一覧から対象のプロジェクトを見つける事が難しくなります。プロジェクト一覧から対象のプロジェクトを見つける事が難しい場合は、MonacaクラウドIDEの実機で実行を活用していください。
また、プロジェクト一覧に表示されているプロジェクトのiボタンをタップすると、プロジェクトオプションが表示されます。
プロジェクトオプションにあるスターをタップすることで、プロジェクト一覧のトップへ表示させることもできます。このスター設定は、MonacaクラウドIDE上の対象プロジェクトと連動しているため、MonacaクラウドIDEのプロジェクト一覧にも反映されます。
よく使うプロジェクトにスターを付けることで、プロジェクトを見つけやすくする事もできます。
デバッガーメニュー
デバッガーメニューでは、以下のメニューを提供しています。
- すべてのプロジェクト
- Monaca.io プロジェクト
- ローカルプロジェクト
- ローカルコンピュータ
- 設定
- このデバッガーについて
すべてのプロジェクト
すべてのプロジェクトは、MonacaクラウドやMonaca Localkit、Monaca CLIのローカルPCに登録されているプロジェクトを表示します。
Monaca.io プロジェクト
すべてのプロジェクトは、Monacaクラウドに登録されているプロジェクトを表示します。
ローカルプロジェクト
ローカルプロジェクトは、Monaca Localkit、Monaca CLIのローカルPCに登録されているプロジェクトを表示します。
ローカルコンピュータ
ローカルコンピュータは、Monaca LocalkitやMonaca CLIがインストールされているローカルコンピュータに接続する画面になります。
設定
設定画面では、各種設定が用意されています。
- スリープを許可する(デフォルト:OFF)
- メモリ使用量表示(デフォルト:OFF)
- アプリ復帰時にプロジェクトを再実行(デフォルト:OFF)
- ネットワーク再接続時にプロジェクトを再実行(デフォルト:OFF)
- デバッガーメニューを非表示にする(デフォルト:OFF)
- ディスク使用用
- 同期データを削除する
- LOCAL STRAGEを削除する
スリープを許可する
スリープを許可するがONの場合は、Monacaデバッガーが起動している間は、スリープしなくなります。
メモリ使用量表示
メモリ使用量表示がONの場合は、Monacaデバッガーが使用しているメモリ使用量が表示されます。
アプリ復帰時にプロジェクトを再実行
アプリ復帰時にプロジェクトを再実行がONの場合は、アプリがバックグラウンドからフォアグラウンドへ復帰した際に、プロジェクトのリロードを行います。
ネットワーク再接続時にプロジェクトを再実行
ネットワーク再接続時にプロジェクトを再実行がONの場合は、ネットワーク切れた際に、再度ネットワークが接続した際に、プロジェクトのリロードを行います。
デバッガーメニューを非表示にする
デバッガーメニューを非表示にするがONの場合は、デバッガーメニューボタンが、非表示になります。
ディスク使用用
Monacaデバッガーが使用しているディスク使用量が表示されます。
同期データを削除する
Monacaデバッガーでは、同期したプロジェクトデータをキャッシュとしてアプリ内に保存して使用しています。アプリ内保存している同期データ量が、端末のディスク容量を圧迫している場合や、開いているプロジェクトの動作に問題がある場合は、同期データを削除することで、回避できる場合があります。
LOCAL STRAGEを削除する
Monacaデバッガーでは、LOCAL STRAGEのデータをアプリ内に保存して使用しています。アプリ内に保存されているLOCAL STRAGEのデータは、すべてのプロジェクトで共通になります。
複数のプロジェクトでLOCAL STRAGEを使用している場合は、対象のプロジェクトを開く前にLOCAL STRAGEのデータを削除する必要があります。
このデバッガーについて
この項目では、Monacaデバッガーについて、以下の情報を確認する事ができます。
- Monacaデバッガーのバージョン
- ビルド日時
- Cordovaのバージョン
- プラットフォームのバージョン
- 使用できるCordovaプラグイン一覧
使用できるCordovaプラグイン一覧に表示されていないCordovaプラグインをMonacaデバッガーで利用したい場合は、カスタムビルド版デバッガーをビルドして作成することで、利用する事ができます。
注意点
Monacaデバッガーは、プッシュ通知には対応していません。また、サードパーティー製Cordovaプラグインによっては、カスタムビルド版デバッガーで利用できない場合があります。
サードパーティー製Cordovaプラグインをカスタムビルド版デバッガーで利用できない場合は、デバッグビルドで作成したアプリで動作を確認する必要があります。
おわりに
今回は、Monacaデバッガーを使用する上での基礎知識について説明しました。次回は、MonacaクラウドIDEとMonacaデバッガーの活用方法について説明したいと思います。