企業における業務システムとしてkintoneの利用が増えています。これはWebデータベースとして使え、外部システムとの連携や機能拡張(API)が可能です。しかしながら、標準機能だけでは限定的な場面もあります。
そこで本記事では、kintone APIとMonacaを使ってモバイルアプリ開発に必要なリソースについて説明します。
初めに:準備するものと不要なもの
サーバーは不要
データはkintoneに保存され、Monacaアプリからアクセスします。そのため、別途サーバーの準備は不要です。
サービスアカウントの準備
必要なアカウント情報です。
① kintoneのアカウント
kintoneのアカウントが必要です。
② Monacaのアカウント
今回はkintoneとMonacaの連携を前提としていますので、Monacaのアカウントが必要です。なお、有料アカウント限定になります(理由は後述します)。
開発者アカウント
開発者アカウントは、iOSとAndroidどちらのアプリを作るかによって変わります。
iOSの場合
iOS向けにアプリ開発を行うならば、Appleとの契約が必要です。その際には有料契約して、iOS開発者としての登録が必要です(2023年5月現在年間12,980円)。
Apple Developer Program - Apple Developer
そしてAccount - Apple Developerにて、以下の情報を作成・取得します。
- 開発者証明書
- 開発するアプリのプロビジョニング
- 開発用デバイスの登録
Androidの場合
Android向けにアプリ開発を行う場合には、Googleとの契約が必要です。この場合は、Google Play でアプリとゲームを配信 | Android Developersへアクセスして、Developer Registration Fee(25ドル)を支払います。これは一回だけ支払うものになります。
支払いを行うとデベロッパー情報を入力できます。審査に時間がかかる場合もあるようなので、早めに登録を済ませておくと良いでしょう。
Android端末はデフォルトでは開発用途になっていません。設定方法はOSや端末によって異なるようです。
デバイスの開発者向けオプションを設定する | Android Studio | Android Developers
AndroidでMonacaのカスタムデバッガーを利用する場合、ストア外のAPKファイルのインストールを許可する必要があります。インストールしてもらう場合には、各ユーザーのAndroidデバイスにて「セキュリティとプライバシー」にある「提供元が不明なアプリをインストール」を許可設定にします。
Cordovaプラグイン
kintoneと連携する場合、任意のネットワークアクセスを許可する仕組みが必要です。標準のJavaScriptではセキュリティ上の制限があるため、Cordovaプラグインを利用します。
silkimen/cordova-plugin-advanced-http
Monacaでは任意のCordovaプラグインを利用するためには、有料契約が必要になります。
開発方法
カスタムデバッガービルド
Monacaにはアプリのビルド方法が幾つか用意されています。
- デバッグビルド
- カスタムデバッガービルド
- リリースビルド
開発中はカスタムデバッガービルドの利用をお勧めします。カスタムデバッガーの使い方はAsial Blog | Monacaデバッガーのカスタムビルド版を使ってみようを参照してください。
クイックビューアは利用できません
MonacaではiOS向けにクイックビューアをリリースしています。こちらはCordovaプラグインが利用できないため、kintone連携アプリ開発用途には利用できないので注意してください。
iOS、Androidともにカスタムデバッガービルドの利用をお勧めします。
リソース
Monacaを使ったkintoneアプリの開発でお勧めのリソースです。
- kintoneとMonacaアプリを連携させる(認証編) – モナカプレス
- kintoneとMonacaアプリを連携させる(API基本操作編) – モナカプレス
- kintoneアプリをMonacaから操作する(顧客リストアプリ) – モナカプレス
- kintone掲示板アプリをMonacaから操作する (前編) – モナカプレス
他にも様々なkintoneアプリをMonacaから操作するサンプルを作成しています。こちらのブログ記事よりご覧ください。
まとめ
kintoneはデスクトップなどでは使いやすいですが、モバイルアプリに特化したUIではなく操作が難しいこともあります。また、自社データやスマートフォンの機能と連携したいというニーズもあります。
そのような場合、Monacaを使うことで、手軽にkintoneアプリのスマートフォンアプリ化を実現できます。ぜひこの記事を参考に、開発を試してみてください。