前回は、MonacaクラウドIDEで提供している共有機能を使用するための基礎知識について説明しました。MonacaクラウドIDEで提供している共有機能は、複数のMonacaアカウントで、Monacaプロジェクトのソースコードを共有できる機能になります。

共有機能のすべての機能を利用する場合は、BusinessプランまたはEnterpriseプランが必要になります。

今回は、共有機能の活用例や注意点について説明していきたいと思います。

共有開発例

すでに開発が進んでいるプロジェクトの場合は、仕様を変更する事は難しいですが、まだ仕様の変更が可能で、MonacaクラウドIDEの共有機能を検討している場合は、以下の例のように意識をすると良いと思います。

共有機能を利用する場合は、下記の共有の注意点に記載したように、担当するファイルや機能開発を決めて行うと競合の発生を抑えることができます。Monacaでアプリ開発を行う場合、SPA(Single Page Application)構成の方が、従来のMPA(Multiple Page Application)より、画面切り替えのパフォーマンスが高い等のメリットがあるため、SPA構成がおすすめです。

Monacaでは、SPA構成のテンプレートプロジェクトを複数提供していますが、Onsen UIを利用している場合は、ページ単位でフォルダーを作成し、フォルダー単位で担当を分けることで、競合を抑えることができます。Onsen UIでは、ページを構成するons-pageをファイル単位で切り分けることができるため、フォルダー単位での開発も可能です。フォルダー単位での開発の区切りの良いところで、テスターに連絡し、動作の確認をしてもらうことで、効率よくテストを行なってもらうこともできます。

プロジェクトの仕様によっては、共通の機能を一つのファイルにまとめているようなケースも多いと思いますが、このような共通機能は、共有元のMonacaアカウントが担当し、共有先のMonacaアカウントでは、担当のフォルダーを開発するような形で行うと比較的スムーズにプロジェクトを共有できると思います。

共有の注意点

MonacaクラウドIDEで提供している共有機能では、バージョン管理機能がないため、複数人が同じファイルを編集している場合、最後に保存された内容が反映されます。そのため、共有機能を利用する場合は、担当するフォルダーやファイルを決めて行うと競合の発生を抑えることができます。

通常、Monacaプロジェクトで開発を行う場合は、wwwフォルダーやsrcフォルダー内のファイルを編集して開発を行います。一部のMonacaクラウドIDEのメニュー項目の設定では、Monacaプロジェクト内のファイルに設定内容が保存されます。プロジェクトを共有した場合、これらのファイルも共有されるため、MonacaクラウドIDEのメニュー項目の設定についても、担当者を決めることで、競合の発生を抑えることができます。

以下は、Monacaプロジェクト内のファイルに保存されるMonacaクラウドIDEのメニュー項目になります。

  • 設定 - Androidアプリ設定
  • 設定 - iOSアプリ設定
  • 設定 - Windowsアプリ設定

で設定した内容は、config.xmlに保存されます。

  • 設定 - PWAアプリ設定

で設定した内容は、www/manifest.jsonに保存されます。

  • 設定 - Cordovaプラグインの管理

で設定した内容は、package.jsonに、保存されます。

  • ビルド - ビルド環境の設定

で設定した内容は、build.jsonや、Monacaプロジェクト内の隠しファイルに保存されます。

参考例として、MonacaクラウドIDEのメニュー項目の設定については、共有元のMonacaアカウントで行い、共有先のMonacaアカウントでは、担当フォルダー内のファイルを更新するような形で行うと競合の発生を抑えることができると思います。

テスターについて

開発者に割り当てられているMonacaアカウントの場合は、MonacaクラウドIDEでの開発が可能なため、共有先のMonacaアカウントでもビルドを行い、動作検証を行うことができますが、テスターに割り当てられているMonacaアカウントの場合は、Monacaデバッガー上での動作検証のみが行えます。

テスターに割り当てられているMonacaアカウントが、MonacaクラウドIDEから共有プロジェクトを開いた場合、以下のような権限エラー画面が表示されます。

現在、公式ストアでは、Android版のMonacaデバッガーが公開されています。iOS用端末で動作検証を行いたい場合や、公式ストアで公開されているMonacaデバッガーに含まれていないサードパーティー製Cordovaプラグインの動作検証を行いたい場合は、カスタムビルドデバッガーを作成する必要があります。

カスタムビルドデバッガーを使用してテスターに動作検証を行ってもらいたい場合は、開発者に割り当てられているMonacaアカウントでカスタムビルドデバッガーを作成し、テスターに配布する必要があります。

公式ストア以外から配布を行う場合の参考例は、以下を参照してください。

テスターは、Monacaデバッガーに表示された共有プロジェクトをタップすることで、動作検証を行うことができます。

おわりに

2回にわたり、MonacaクラウドIDEで提供している共有機能の基礎知識と活用について説明しました。共有機能では、バージョン管理等の高度な機能はありませんが、手軽にMonacaプロジェクトを共有し、チームでアプリ開発を行うことができます。現在、チームでのアプリ開発を検討している場合は、一度、MonacaクラウドIDEの共有機能を試してみてください。バージョン管理が必要な場合は、以下を参考にMonacaで提供しているバージョン管理機能も試してみてください。